2020年、世界は新型コロナウィルスにより、経済も文化も社会も、
人とのつながりも、分断を余儀なくされました。
人と接触してはいけないという、これまでには経験したことのないことに私たちは翻弄され、
戸惑いと不安を抱えて数か月を過ごしました。
自粛生活の中、家族との関係を見直した方もいるのではないでしょうか。
大きく変わった働き方から、自分の人生をも問い直した方もいるでしょう。
これまでの価値観では考えられない新しい価値観が生活に入り込み、
それについていけない人も多くいるのではないでしょうか。
この「人との距離を置く」という生活が、これからの当たり前の
新しいライフスタイルになるとしたら、それはとても危険なことです。
これまで、地域のつながりを大切にしてきたハートフル・ポートとしては、
何とかしなければ…とこの自粛期間もスタッフのみんなといろいろと考えてきました。
緊急事態が宣言されたときには、カフェは4月1か月間はお休みをしましたが、
5月の連休後からは、お惣菜の販売を始めました。
庭先で少しでも顔を合わせ、少しでも声をかけ合えたら…との想いもあり、
在宅勤務の方も多かったので、お惣菜は助かるという声もあり、大変喜ばれました。
6月からは、営業を短縮し、カフェとお惣菜のお持ち帰りの併用を続けています。
その間、オンラインでの座談会や環境のお話会を会場とオンラインをつないで開催したり、
社会の変化に合わせ、地域のつながりを絶やさないために、何をしたらいいのかを
考えながら模索してきました。
しかし、これまでカフェに頻繁に来られていた常連の方の中にも、
家族から止められているとか、自分自身も不安だからという方も多く、
しばらくお会いできずにいた方もずいぶん多くいらっしゃいます。
家にとじこもってしまうといろんな弊害も生まれます。
まず人に会うことが面倒になり、そうなると、服装も構わなくなり、
女性だったらお化粧もしなくなるし、一日何もしないで過ごすこともあるかもしれません。
外に出て出かけたり、誰かに会うということは、オシャレもすることで気持ちにも張りが出ます。
ちょっとしたお出かけが、社会につながるひとつのきっかけとなり、
それが生きがいにもなり、健康長寿にもつながります。
社会とつながる場――とくに高齢になると、とても必要だと思います。
確かに今は、オンラインでつながれるようにもなり、とても便利になりました。
遠くの人ともつながることができ、気軽にいろんなイベントにも参加できます。
しかし、シニアの方々はなかなか便利な道具を使いこなすことはできません。
人が誰かと話をして癒されるのは、
その場の空気感や、何げない雑談から生まれる会話だったり…
帰り際のちょっとしたあいさつの中でふと漏らした一言だったり…
かけてもらった一言だったり…
実は、大切なことがそんな何げないやりとりの中に潜んでいたりする
からなのかもしれません。
それがその人が感じている本音だったり…
表情からそれを読み取ってもらえたり…。
オンラインでは、なかなかこういった細かな気づきを得ることはできません。
社会がどんなに新しいライフスタイルに変わったとしても、
こういった言葉だけでは伝わらない人と人との温もりをなくしてはいけないと思います。
ニューノーマルな時代とともにオンラインが生活の一部となる今だからこそ、
このようなリアルな場を大切にしていかなければならないと感じます。
公的機関がいろんな規制がある中で身動き取れない今、
閉塞感を感じてモヤモヤしている人も多いと思います。
だからこそ今、こういった地域の居場所が果たす役割が
とても大きくなっていると感じます。
ちょっと立ち寄れる自分の居場所…
気軽に声をかけ合える場を大切に育んでいかなければと思います。
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20世紀初頭、パリのカフェは社交の場でした。
いろんな文豪や芸術家が集まり、時代を創ってきました。
時代が大きく変わろうとしている今は、まさにその当時に似ている気がします。
自分たちが住む街をどうしたいのか…
自分たちができることは何なのか…
企業や自治体任せではない、自分たちが住む街を自分たちで考えたい!
そう思っている人も増えているのも事実。
そんなことを自由に話せる環境を作りたい!
それができるのは、出入り自由なカフェだからこそ。
ここに集まる人たちがモヤモヤすること
地域、社会、環境、教育、介護、子育て、仕事、家庭…
などを自由に吐き出すことで、新しい何かが始まる気もするのです。
時代を作るのは、私達一人ひとり。
一人ひとりの力は小さいけれど、1人仲間が増えたらできることは2倍、3倍と増えていきます。
いろんな課題が山積する地域社会、そして今や世界とつながるグローバル社会。
今世界的目標となっているSDGsは決して遠いところの話ではなく、私達身近なところで起きていることを
考えるところから始まります。
そんなことを、このハートフル・ポートでも活動の拠点として、
新たな一歩を踏み出したいと思っています。
店主は常にワクワクすることを探しています(笑)
一緒にワクワクしたい方、是非仲間になってください!
一度きりの人生を楽しく、有意義に、そしてこの地域に住んでいてよかった!と思えるよう、
一緒にコミュニティを創っていきたいと思います。
それが、コミュニティカフェのこれからの役割でもある気がします。
カフェから時代は創られる……そう考えるとワクワクしますよね!