オープン以来、6年3か月の間、実にたくさんの方がカフェに来てくださいました。
本当にありがたいことで、心から感謝です。
しかし、私としては、ここにわざわざ来てくださる方ってどんな方なんだろう?
といつも興味津々です。
はじめて来てくださった方には、ついつい、
「こんにちは~。今日はどちかからですか?」とか、
「ここのことはどちらでお聞きになったんですか?」
等と聞きたくなります。
どう考えても、住宅地の真ん中にあり、
大きな宣伝をしているわけでもなく、たいして目立った看板も出していないのに、
この方がなぜ、この時間に、ここに来てくださったのか、とても不思議なのです。
何げない私の質問にお客さまが快く答えてくださると、
そこから会話が始まります。
「いや、実はね…」と。
実は、ここのような家開きをしたいと思っている人だったり、
単に息子さんが今日はお休みだから、一緒に来たご近所の人だったり、
お散歩がてら来てくだださったご夫婦だったり…
そんなことをお聞きすると、ますます興味津々となる。
「え?どんなご計画があるんですか?」
「息子さんと一緒なんて、うらやましい~!」
「ご夫婦でお散歩&ランチなんて、素敵ですね~♡」
とついつい、質問しているうちに、しゃべりこんでしまうことも。
でも、そういったちょっとした会話の中から、新たな人のつながりは生まれる。
初対面なのに、いろいろとお話をしてくださったりする。
自分もカフェをやりたいけど、そのやり方を教えてほしいとか、
息子が突然仕事を辞めて、金髪にして、なんか起業すると言い出した!とか、
ご主人ともこういう場があるから行ってみようよ、ということになった、とか、
心の窓が開かれて、さわやかな風を感じる瞬間である。
ここにいらっしゃる方はもちろん様々で、単にお客様とひとくくりにすることはできない。
これが普通のカフェだったら、おそらくここまで会話をすることはないだろう。
いや、むしろしたらおかしい。
ところが、ここでは上記のような会話は当たり前に日常的に交わされ、違和感を感じることがない。
もちろん、ひとりにしておいてほしいオーラを感じる方にはあまり声をかけない。
しかし、お会計の時や玄関から出る時に、
「外は暑いですから、気を付けて~」
などと声をかけてしまうと、
にこりと笑ってくださる。
「これからまた自宅で仕事です~!」
なんて言われると、
「頑張ってくださいね!」
と声をかけてしまう
誰のための場であるかと考えたら、それはここに来るひとりひとりのためであり、
ここに来ることで、何か新しい発見をしたり、新しい出会いがあったり、ホッとできるひと時を過ごしてもらう場である。
いらっしゃる方がそう思って、その方にとって居場所となれば嬉しい。
と同時に、スタッフや私自身にとっても、こんな出会いから世界が広がり、新しい発見もあることが何よりもうれしい。
そういった出会いから元気をもらい、幸せにしてもらっているのは間違いない。
わがままな店主は、この場は自分にとって最も居心地のいい場所なのである。
今日も、お仕事の合間に…
杖をついて、お散歩の途中に…
ちょっとおしゃべりがしたくて…
ひとりで…
ご夫婦で…
お友達と…
いろんな方が立ち寄ってくださった。
コロナの感染が心配で、今日は自粛後初めての外食です!という方も!
まだまだ人との交流を持つのも心配といった方も多いが、
こういった時だからこそ、こういった場は必要だと切に感じる。
人数を制限し、感染の予防もしながら、少しの時間でもいい、誰かと話をし、
美味しいものを食べ、気持ちを発散することは大事だ。
今できること――それをやっていきたい。
6年前、オープンした時とこの想いは全く変わらない。
ひとり一人の想いに寄り添って耳を傾け、ここで時間を過ごした後、玄関を出らえるときに、
ここに来てよかった!と思っていただけるよう、
これからも、心温まる港であり続けられるよう、これからもこの場を守っていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。
スタッフ一同、日々の活動も楽しみながら、皆さまと出会えることを心より楽しみにしています。
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